4月3日(日)

 新年度が始まった。それを考えると、このグレートホステス通いもずいぶん長いものになったものだ。今年度も今まで通り沙夜ちゃんと時が過ごせますように。いや今まで通りではなく、今年こそは進展を。
 天気が崩れそうだったので車でグレートホステスへ。沙夜ちゃんがいなければ駐車場に車を止めて、日が暮れるまで待つ。
 駐車場に入り、駐輪場を見てみる。沙夜ちゃんの自転車がある。沙夜ちゃんがいる。いつもと同じようにいる。いつもふがいないワシにまたチャンスをくれた。
 店に入る。奥のキッチンを見る。うなじのかわいい沙夜ちゃんの後ろ姿が見えた。今日も素敵に働いておられる。
 店長の案内。なんと先週と同じ、仕切りが邪魔でウエイトレスさんが見えにくい席にまた座るはめに。この仕切り、もう少し低くならないものか。
 今日はあっさりしたサラダを食べたかったので、シーフードサラダを頼もうとした。しかしそのシーフードサラダがない。メニューから消えてしまった。その代わり「季節野菜のガーデンサラダ」が復活していた。なのでそれを頼むか。500円、ワンコインですむ。
 沙夜ちゃんに注文を取ってほしいが、キッチンから出てくる気配がない。じっと待っていたが、店長が注文を取りに来る。
 サラダが出てくる。沙夜ちゃんは出てこない。入店からある程度時間がたったが、一回も表に姿を見せてくれない。
 邪魔な仕切りをよけてキッチンを見てみる。沙夜ちゃんはそこで黙々と作業をしておられる。今年度から裏方専門?
 仕切りをよけるにも結構無理な体勢をしなければならない。つらいのでしばらく見てやめた。
 サラダを食べ終わり、席でじっと待ってる。それでも沙夜ちゃんは表に出てこない。
 これはつらい!一体どういうことなのだ?沙夜ちゃんいるのにその姿を見ることができない。このままタイムリミットが来てしまうのか。これはいないよりつらい。
 高い仕切りをよけて何度もレジ側を見る。表にいるのは亀島さんといつものさんだけ。ついにワシは疲れてしまい、店内を見渡すのをやめてしまった。
 しばらくうつむいていると、レジのほうから「いらっしゃいませ〜」と沙夜ちゃんの声が聞こえた。お客さんの案内のためようやく表に出てきてくれた。喫煙席に客を通す。そしてようやく表で仕事を始めた。あ〜、長かった。
 喫煙席での作業が続いていたが、ようやくワシの座っている禁煙席側に来てくれた。ワシのことに気づいてくれたかな?
 ワシの真後ろの席へお客さんを案内。真後ろでしかもあまりに近すぎるため振り向いてみるのはちょっと気まずい。なので前方にある大きな鏡を通して沙夜ちゃんを見ていた。これなら違和感なし。
 そして次はその前方にある鏡付近の席にお客さんを案内。違和感なく見つめる。案内し終わってキッチンに戻るとき、沙夜ちゃんはワシを見た!顔も視線も間違いなくワシのほうに向いていた。やっほい。
 再びワシの真後ろの席へ。また前方の鏡を通して沙夜ちゃんを見る。そこからキッチンに戻るとき、目の下にいるワシを見た!視線がワシに刺さったのが、前方の鏡を通してはっきり確認できた。
 そんなこんなに喜んでいたら、あっという間に17:30になった。早い。名残惜しいが今日はこの辺で席を立つことにした。
 立ち上がって上着を着る。レジ付近の席で沙夜ちゃんが作業をしている。ワシに気づいた。しかしレジにはすでに亀島さん。お品運びで忙しい沙夜ちゃんはキッチンへと入っていった。
 席を立つワシを見て真っ先にレジに向かってくれたあのころ、亀島さんとレジを交代したあのころがとても懐かしい…。
 亀島さんにレジをやってもらう。その最中にキッチンから沙夜ちゃんが出てきた。
 「ありがとうございました、またおこしくださいませ」
 特にワシを見るわけでもなく、普通に言った。そしてレジが終わり、店を出るワシにもう一度
 「ありがとうございました、またおこしくださいませ」
 ワシが会計をしてるとき、用もないのにずっとレジ付近をウロウロしていたのが印象的であり、うれしかった。
 そしてずっと前、「ワシが店を出ると必ず窓際の席の片づけをする」ということが何度もあったが、今日は久しぶりにその光景を見ることができた。店を出るワシに合わせるかのように窓際の席で作業を始める、懐かしかった。
 今日は前半、全く表に出てこなかった沙夜ちゃん。行ったタイミングが悪かった。そのため沙夜ちゃんとの接しがなかった。
 新年度早々にいてくれて、ひとまずは安心だが、これに気を緩めてまたズルズルと長い期間何も出来ないというのはもう許されない。常にラストチャンスという意識で望まなければ、今年度もまた同じことの繰り返しになるだろう。
 そんなわかりきった説教を自分に言い聞かせながら、今日は珍しくすいている道路を車で帰った。

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