3月28日(日)
西武ドームで野球観戦の前に、グレートホステスへ。駐輪場を見てみると、沙夜ちゃんの自転車がない。昨日の土曜日、親父と飯会でここに来たが、沙夜ちゃんはいなかった。今日も休みかよ…。
店に入ろうかどうか迷っていたとき、見覚えのある自転車で駐輪場に入る女の子とすれ違った。ななななんと沙夜ちゃんだ!ご出勤姿を初めて見ることができたのである。
ピンクのフリースにジーパン姿だった。髪は仕事中と違い、束ねてはいなかった。普段着の沙夜ちゃんが見れたよオイ。
しかしである。ワシと沙夜ちゃんは確かにすれ違った。沙夜ちゃんがワシに気があるのなら少しは見るはずである。しかしこのときはまったくワシのことは見ていなかった。自転車を止めるやいなや、すぐに店内へと入ってしまった。気があるなら、初めて店外で会えたわけだから、少しは反応してもいいはずだ。それがまったく見ずに終わってしまった…。 まあ沙夜ちゃんが出勤したわけだから店内へ。制服に着替えて沙夜ちゃんお仕事開始。
お昼時で忙しいのも分かるが、少しはこっちを見てくれてもいいのに。今日はまったくこちらを見ない。ヘタしたらワシの存在にすら気が付いていない。
さっきの自転車のときも見てない、店内でも見ていない。
絶望…。
今は片思いになってしまったのか。それは仕方ないにしても、これではアタックができない。できたとしても断られるだろう。
食欲も激減し、スパゲティ一皿食うのに1時間くらいかかったような気がする。
働く沙夜ちゃんをワシが一方的に見ている。11:30の入店で、時計を見てみるともう13:30である。2時間もいてしまった。タイムリミットをゆうに越えてしまったことに気づき、席を立った。沙夜ちゃんの姿が見えない。もうレジはだれでもいいや。
そのとき、奇跡が起こった。
この店はレジの後ろが厨房、お店の舞台裏である。レジに客が来ると厨房から見えるので、気が付いたウエイトレスさんがレジを担当する。すでにレジにウエイトレスさんがいれば、その人が担当すればいいのだ。
レジというのは、だれがやってもいいものである。
このときはウエイトレスの亀島さんがレジにいた。ワシがレジの前に立って伝票を出す。当然レジ担当は亀島さんである。
そのとき!
厨房にいた沙夜ちゃんが、ワシに気がついたかのようにレジに出てきた。そしてなんと亀島さんと交代した。沙夜ちゃんがレジを担当したのである。
ウエイトレスさんがレジをやろうとして店長に「いいからほかの仕事して」と言われて交代することはある。しかし、ウエイトレスさんがほかのウエイトレスさんにレジを交代するなんて見たことない。いや、ありえない話だ。そのまえにそうする意味がない。
決して亀島さんはレジができない人ではない。現に何度もやってもらったことはある。しかしワシを見て出てきた沙夜ちゃんに交代した。営業上意味のないことをしたのである!
ワシの曇った心は一気に晴れた。沙夜ちゃんはワシのレジを担当したかったのである。亀島さんから譲ってもらったのである。というより、亀島さんが譲ったと言ったほうが正しいのかもしれない。出てきて一緒にレジに立つ沙夜ちゃんに対して亀島さんのほうから「レジお願いね」と言ったから。
何度も言うが、沙夜ちゃんに譲る営業上の理由はない。亀島さんがやればいいところなのだ。前にウエイトレスさんが全員ワシのことを見ていたということがあったが、やはりみんなこの件を知っていて、亀島さんも沙夜ちゃんにワシを譲ってあげたのだろう。
すさまじい大逆転である。入店したときとはまったく違う気持ちで店を後にした。