4月10日(日)

 相変わらず気が重い。グレートホステスに行くにも何か「ハァー」っとなってしまう。行っても結果が分かっているから。
 だからといって行かないかって言うと、もちろんそうではない。行くことが重要なのである。
 …その重要なことを続けてもう1年以上になる。行くだけではダメだということがハッキリしているわけだ。早く声をかけなければ、でもできない自分が見えている。だから気が重くなるのだ。
 あれこれ考えているうちに15:00を過ぎた。自転車でグレートホステスへ出発。穏やかな晴天で気分よくペダルをこいだ。
 グレートホステスに到着。駐輪場を見てみる。折からの強風でとめてある全ての自転車がなぎ倒されている。その自転車の中に沙夜ちゃんのものを発見。いつしかのように沙夜ちゃんの自転車だけを直そうと思ったが、あまりそういうことをすると不気味に思われそうなのでやめておいた。
 店内の様子を見てみる。沙夜ちゃんの姿は見えない。休憩中だとしたらまたタイミングの悪い入店だ。今いちばんレジの近くにいるのは店長。店長の案内になりそうだ。
 店に入る。レジの近くにいた店長はちょっと離れた席の片づけに入った。ワシの入店に気が付かない。キッチンを見てみると、沙夜ちゃんがいるのを発見。しかし沙夜ちゃんも忙しそうでワシに気付きそうにない。しばらく待ちぼうけ。
 やがて店長がワシに気付き、こちらへ向かってくる。それと同時にキッチンの沙夜ちゃんもワシに気付き、走って表に出てくる。
 しかしちょっとの差で店長のほうが先に着き、ワシを案内。
 するとだ。案内に行こうとしたが先に他の人がついたのを見ると、普通は「いらっしゃいませ」と一言いってまたすぐ元の位置に戻るのだ。ところが沙夜ちゃんは、店長が案内するとなってもキッチンへ戻ろうとはせず、しっかり表へ出てきて「いらっしゃいませ」と言い、ワシが席に向かって歩き始めてもまだその場でワシを見続けてくれているのだ。
 もう今日はこれだけで十分!
 今日は例の仕切りのついた嫌な席ではなく、店内全体が見渡せるいい席につかせてもらった。しかも一人なのに四人がけの席だ。
 そしてここからは裏方の様子も見ることができる。表に出てこなくてもここからなら沙夜ちゃんを見れる。
 席に着こうとする。するとその裏方から沙夜ちゃんがワシをじっと見ている。ワシは照れて目をそらしてしまったが。
 もう今日はこれだけで十二分!
 さて、今日はいつものサラダに加えて、最近甘いものにハマっているもんだからチョコパフェを頼む。しめて1,060円。ワンコインですますよりは感じがいいかな。
 ラジオを聴きながら沙夜ちゃんが注文を取りに来てくれるのを待つ。しかしワシが注文を決めたことを悟った店長が即来る。仕方ないか。いつもと違い二品注文なので堂々と「ガーデンサラダ、チョコレートパフェ」と言う。
 沙夜ちゃんは今日も裏方が多いのか。今日のメンバーは沙夜ちゃん、亀島さん、もう一人は見覚えのない人。その見覚えのない人に沙夜ちゃんが仕事の指導をしている。さすが。
 てか、引継ぎか?やだよそんなの。
 店長がサラダを持ってくる。時刻はまだ15:30、ゆっくり食べよう。
 サラダを食べている真っ最中、沙夜ちゃんがパフェを持ってキッチンから出てきた。待ってくれ〜、心の準備が全くできていないよ!しかもサラダにかぶりついている最中で口が動かせないよ。
 しかしそれは違う客のパフェだった。いつ来てもいいように常に構えておかないと。
 その直後、沙夜ちゃんがまたパフェを持ってキッチンから出てきた。ある程度の心の準備はしてたけど…やっぱり消極的になってしまう。だめでしょう、話しかけられないでしょう。
 それも違う客のパフェだった。よし、次こそは。
 サラダを食べ終わる。すると亀島さんがパフェを持ってきた。心の中で苦笑い。
 パフェも食べ終わり、何も持って来ていないのでボーっと座っている。ちょうど沙夜ちゃんも表で仕事し始める。
 今日も素敵に働く沙夜ちゃんを見ていた。かわいいうなじの後ろ姿は何回見ても飽きない。時にはワシのすぐ隣の席にお客さんを案内して、ワシにかなり接近。幸せです。
 しかし今日も何も進展がない。ワシはもう座ってタイムリミットが来るのを待つだけ。沙夜ちゃんはもうここの席には来ないし。だめだなぁ。沙夜ちゃんとの距離は縮まらない。依然として遠い。はるかに遠い。遠距離恋愛より遠い。
 キッチンに入る直前にワシのことをチラッと見てくれることに、今日は満足しておきます。
 やがてお食事中おトイレさんが出勤。17:00だ。今日はこの辺で席を立った。
 レジはそのお食事中トイレさん。ワシが席を立ったことなど気にもせずお仕事を続ける沙夜ちゃん。また来週…。
 動けない。何もできない。相変わらずだな。今日の入店のときと席に着いたとき、沙夜ちゃんは見てくれていたわけだから、そういう時は照れていないでワシもじっと見つめるべきじゃないか。いや見つめるのはちょっと変かもしれないから、会釈するとかね。話しかけない、目もそらす、一体なんなんだ?ってことになるよな。
 たくさんチャンスをくれているのにそれをモノにしない。いつか来るだろう天罰のときにおびえつつ、薄暗い中を自転車で颯爽と帰っていった。

次のページへ

INDEXへ