10月2日(日)

 歩いてグレートホステスへ。いつもより気持ち早めに出発。
 裏口から駐車場に入り、カラフルな自転車がとまっている駐輪場を見た。
 いつも左側から見えてくるわけだが、今日も自転車が見えない。ここまでいないのが続くとかなり凹む。
 いないという事実が自分の中で絶望に変わりかけたとき、駐輪場の右端が目に入った。
 おろろ!沙夜ちゃんの自転車があるじゃないですか!!
 店に入る。珍しくウエイトレスさん全員で「いらっしゃいませ」の声。キッチンから4人でいっせいにだった。
 一番奥にいた沙夜ちゃんが、店に入ったワシを見た。よし、ご確認いただいた。
 亀島さんが「どうぞー」と一言いうだけの案内。全体を見渡せるいつもの席を確保。
 右斜め前方には裏方で作業をする沙夜ちゃんがよく見える。しかし隣の席のカップルの男が少し視界をさえぎってしまうな。
 いつものようにドリンクバーに加えて、フライドポテトを頼みたいのだが、このフライドポテトは塩味かチーズ&ガーリック味があったはず。リニューアルされたメニューには塩味しか書いていない。
 ガーリック味はできないのだろうか。注文を取りに来た亀島さんに聞いてみよう。
 ワシ「えーっとドリンクバーを一つ、それとフライドポテト…これチーズ&ガーリック味はできないですか?」
 亀島さんにこうやって質問するのは初めて。照れてしまって、ワシは伸びきった前髪で目を隠し、隙間から見上げるように亀島さんを見た。
 亀島さん「んー、終わっちゃったんですよ…」
 亀島さんも言葉の最後のほうでワシの目を見てくれた。こんな近くで目が合ったのは久しぶりだ。相変わらず素敵。
 ドリンクバーは、ウエイトレスさんが作業をしている裏方とはすぐ近く。ドリンクバーから見ると右向かいのところにある。
 沙夜ちゃんたちウエイトレスさんたちはこの裏方で作業をしながら、楽しいおしゃべりもしている。その声は席まで聞こえるときもある。
 当然ドリンクバーにいればその声はさらに良く聞こえる。
 今日もドリンクバーを注文したので、混雑しているのがはけてからワシも取りにいった。
 カップにお湯を注いでいると、裏方から沙夜ちゃんの話し声が聞こえてきた。
 沙夜ちゃん「ドリンクバーにいる…」
 ドリンクバーに、「いる」?だったか、ハッキリは聞こえなかったが、そう言ったような気がする。いや、言ったでしょ!
 見回したがいまドリンクバーにいるのはワシだけ。それにてあのお言葉。
 うん、沙夜ちゃん、ワシはここにいるよ。
 裏方にいることが多かった沙夜ちゃん、ようやく表に出てきてお仕事。ゴミ箱を持ち歩いてどこかの主婦みたい。
 沙夜ちゃんドリンクバーに向かう。もう上がりかと思ったが、そうではなかった。飲み物の補充作業をした。
 ずいぶん長いこと作業をしている。時折、右側をじっと見つめてる。だれかいんの?
 やがて沙夜ちゃんの姿が見えなくなる。ワシはバイト上がりであることを悟った。
 ちょうどワシのティーカップは空っぽ。帰るときにドリンクバーの前を通る沙夜ちゃんとバッタリ会わないように、今のうちに注ぎに行こう。
 ドリンクバーでお湯を注ぐ。するとその最中に私服姿の沙夜ちゃんが裏方から出てきた。それが横目で見えた。
 あら、こんな場所で今日のおしまいを迎えるとは。ワシのすぐ背後を沙夜ちゃんが通る。
 黒のTシャツ、G素材のスカート。今日もおしゃれな沙夜ちゃん。いささかいつもより横を見ることが多いような。
 沙夜ちゃんの視界に入りたいので、ワシはゆっくり席へ戻る。
 今日の席は窓際。沙夜ちゃんは自転車を取りにこの窓の前を通るのだ。
 座ってしまうと窓に背を向ける形になってしまうので、ワザと座らずにしばらく立ち、立ちながらティーパックをお湯につけていた。
 そしてワシの斜め前まで来た外の沙夜ちゃんを横目で見た。うんうん、店内のワシを見てるぞ。
 沙夜ちゃんがワシの真正面に来たとき、思い切って沙夜ちゃんの顔をモロに見てみた。
 近距離で目が合った!モロ合っている!やった!
 しか〜し!近距離で目が合ったときの沙夜ちゃん、超〜しかめっ面!むさ苦しいっていう表情だ。
 近くで見られるのが迷惑か?なにもそんなに顔をしかめなくったって。口をとがらせて目をしわしわにして、ま〜ぶっサイクなお顔だったこと!
 てめぇギャル面、また来週〜(嬉)。
 いやいや沙夜ちゃん、いつも私服で店をあとにするときはワシのことや店内は一切見ない。ワシの視線を感じているから。
 それが今日は、ワシがドリンクバーで後ろを向いているときに出たもんだから、ワシに気付かれていないと思ったのだろう。その後ろめたさが店内のワシを外から見るという行動に結びついたのだろう。
 悪いが、沙夜ちゃんはまだワシを意識している。その意味は定かではないが…。
 しばらくすると、沙夜ちゃんがまたお店に戻ってきた。レジ袋を持っていた。
 もしかしたら、頼まれて近くに買物に行っただけで、まだバイト上がりではないのかも知れない。おしゃれに気を使う沙夜ちゃんは、わずかな時間であっても制服のまま外を歩くのがいやで、わざわざ私服に着替えたのかもしれない。
 そんな妄想もむなしく、レジ袋をキッチンの人に渡すとまた外へと出て行った。そして自転車でいつもの方向に帰っていった。
 ワシも店を出る。レジは今日はお世話になりっぱなしの亀島さん。キレイです。
 それにしても相変わらず上がる時間が早い沙夜ちゃん。それに時間を合わせるようなことはしないつもりだが…。
 もしかしたらもうちょっと早い時間に行くようにするかもしれない。状況は上向いてきているから。

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