5月4日(水祝日)

 15:30過ぎに歩いてグレートホステスへ。16:00を10分過ぎて到着。
 駐輪場を見てみる。沙夜ちゃんの自転車はない。この晴天で徒歩で来ることはあまり考えられない。今の時点ではいないのだろう。去年の5月の3祝日ではいたのは子供の日だけ。すでに昨日おられたから、今日と明日はお休みかな。
 しかし土日以外は17:00から入ることもしばしば。今日もそうかもしれない。17:00まで待とう。また近くの草原で時間をつぶすことにした。
 17:00に再び行ってみる。するとなんと沙夜ちゃんの自転車があるじゃないですか!計算が当たった。お店へレッツゴー。
 駐車場から入り口に向かって歩く。店内を見てみる。レジの近くじゃないほうのキッチンの入り口に沙夜ちゃんが立っている。ワシに気付いた。ワシを見ている。ワシもよく見ようとしたが、ガラスに景色が映ってしまって中がよく見えない。でも沙夜ちゃんが見てることだけはわかった。
 入るとお食事中おトイレさんが案内。
 「禁煙喫煙のご希望は…」
 この声はかなり小さかった。もう聞かなくてもいいかと思っているのだろう。聞かなくていいですよ。
 レジにいちばん近い4人がけの席に案内してもらった。座るときにさっき沙夜ちゃんがいた右側を見てみる。するとちょうど沙夜ちゃんがほかの客の席に向かって歩いていた。ワシを見ながら!
 注文取り、準備、お品運びは全てお食事中おトイレさん。今日のお品はガーデンサラダ。ワンコインですむこのメニューだが、結構量が多い。ゆっくり食べた。
 今日もドリンクバーでの作業が多い沙夜ちゃん。作業がひと段落するたびにワシを見る。かわいい!
 そしてまたレジの近くじゃないほうのキッチンの入り口に立つ。またワシのほうを見ている。もうワシは照れてしまってこれ以上沙夜ちゃんを見ることができなかった。
 ワシの真後ろの席に座っていた高齢の客が、店長やらお食事中おトイレさんに割引券の使い方をしきりに聞いていた。2枚は同時に使うことはできないなどの説明を受けて納得している様子だった。その客を横目で見るワシ。ひと段落して目を右側に向ける。すると沙夜ちゃんが歩きながらワシを見ていた。
 何だか今日は沙夜ちゃんがよくワシを見てくれる。去年は魔のゴールデンウィークだったが、今年のは感触がいいな。ホントにいい!
 メニューを整理する後ろ姿、かわいい。今度はワシが存分に見た。ワシの真後ろの席の片づけにいらして、それも横目で見てた。怪しくない程度に。
 ファミレスでは出入り口付近で玩具が売られている。今日はその新着商品でドラえもんのミニバッグが置かれることになり、社員やウエイトレスさんがそのバッグを手に取り、見ていた。沙夜ちゃんはそのドラえもんのバッグを見て一言。
 「これ絶対おかしい」
 一人の女の子としての沙夜ちゃんが垣間見れた。
 普段は話しかける雰囲気じゃなくてなかなか話しかけられない。しかしそれは沙夜ちゃんがそういう雰囲気の人ってわけではないのだ。普通に明るい子なのだ。キッチンから聞こえてくる砕けた会話もあるし。話しかけてもマズイってことはないはずだ…。
 やがて時間がたち、ふとレジを見てみると泣き顔のいつものさんがいた。一体どうしたのだろう。店長に慰められ、肩をポンと叩かれていた。何があったのか分からないけどドンマイ。
 時刻は18:30。出勤が遅かった沙夜ちゃんはまだ上がる気配はない。そろそろ出るか。
 別に沙夜ちゃんにレジをやってもらおうとタイミングを図るようなことはしない。外すと悲しいから。時間になったらどんなタイミングであろうとレジに行くのだ。
 しかしワシが席を立つ前から沙夜ちゃんはレジ横のメニューを整理していた。これなら沙夜ちゃんがレジだ。さっと席から立ち上がる。
 「ありがとうございました、またお越しくださいませ」
 ワシが席を立ったことに気付いた沙夜ちゃん。しかし横目で沙夜ちゃんを見ていたがレジに向かう気配がない。
 「ありがとうございました、またお越しくださいませ」
 ワシには必ず2回言う沙夜ちゃん。それならばレジに行ってください…。しかしその場から動かずに手を前に組む「店員さんスタイル」でじっとこちらを見ている。ふと顔を上げてレジを見てみると店長が陣取っていた。なるほどこれでは沙夜ちゃんレジに行きたくても行けないか。
 レジに向かう同時にワシの席の片づけを始める沙夜ちゃん。席を立つまでじっと見ていてくれるなんてワシ以外には絶対しない。
 店長のレジ。500円ワンコインのむなしい支払いだが、店長はご丁寧に両手をそろえ、指先をテーブルにつけてお辞儀。
 店を出る。窓際のワシの席を片づける沙夜ちゃんがよく見える。ワシはじっと見ていたが、沙夜ちゃんはこちらを見ることなく、黙々と片づけをしていた。
 いやいや、今日はたくさんワシを見てくれたな。1年前の今ごろはどうなることかと思ったけど、よくここまで持ち直したものだ。
 話しかければ絶対にうまくいく。その状態が崩れる前に早く何とかしないとな…。
 すっかり暗くなった町を歩いて帰った。

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