2月6日(日)

 沙夜ちゃんがワシのことを見てくれているのに気がついたのは去年の2月8日(日)。もう1周年だ。早く何とかしなくてはならない。しかし今年はまだ1回しか会っていない。しかももう1ヵ月以上たってしまった。今度こそやめてしまったのか?
 昨日は7年ぶりに会う友達を交えて地元連中と飲み会。帰宅して寝たのが今朝の5時。起きたのは昼。
 そして今晩も飲み会。6時に池袋集合だからグレートホステスに行く時間がないな。まぁ行っても沙夜ちゃんはいないかもしれないし、今日は行かなくていいか。
 いや、しかしもう1周年である。わずかな望みに託してでも行ったほうがいい。それにしても時間がないな。
 バイクで買い物へ行く。そのついでにグレートホステスへバイクを走らせて見る。
 駐輪場に入る。見覚えのある青い自転車、黒いサドルに「BOKO」の文字、そして台座だけになったベル…沙夜ちゃんがいる!
 店内を見てみると、素敵に働く沙夜ちゃんの姿が見えた。興奮した。ヘルメットの中で叫んでいた。二度目の1ヵ月以上ぶりの再会だ!
 時刻はすでに16:00を過ぎていた。飲み会の池袋へ行くにはグレートホステスの最寄り駅から行ったほうが早い。このままバイクを置いて入店すると後があわただしくなる。バイクで家へ戻り、飲み会の準備をして歩いてグレートホステスへ行った。
 ワシは黒のトレンチコート、髪の毛を短くしてバシッと立てている。沙夜ちゃんワシだってことに気づかなかったりして。
 入店する。沙夜ちゃんが出迎えてくれた。
 「お一人様で…」
 人差し指を立て、首を少し横に傾けながら小声でおっしゃった。ほかの客との対応の違いは何度味わっても飽きないものだ。そして禁煙喫煙も聞かずいつもどおり禁煙席へ案内してくれた。
 1ヵ月以上ぶり、いつもと違う格好、それでも沙夜ちゃんはワシのことを全て把握してくれている。そしてうれしいことに、店内全体が見渡せるベストの席へ案内してくれた(っていうかそこしか空いてなかった)。
 パッとメニューを見てすぐに顔を上げる。サラダしか頼まないことを分かっている沙夜ちゃんはすぐに注文を取りに来てくれた。寒さで頬が固まっているせいでうまくしゃべれなかった。
 さぁ、話しかけないといかんぞ。準備しに来てくれたときがチャンスだぞ。
 沙夜ちゃんが準備しに来た。ドレッシングを置き、フォークを置き、今回初めておしぼりを持ってきてくれた。
 …ダメだ、言葉が出ない。
 サラダを持って沙夜ちゃんがこっちに向かってくる。この時点でまた言葉が出ないことは目に見えていた。全く声をかけようとしないワシ。
 時間がないのでパッとサラダを食べる。食べ終わり、素敵に働く沙夜ちゃんを見ていた。
 片づけのときも話しかけられないだろうな…。結局皿をさげに来たのは若乃花店長だった。
 17:15分ごろ、沙夜ちゃんは控え室へ。その5分後、私服姿で店を出た。もう上がりか。まぁ今日はワシも長いこといられないからちょうどいいか。
 今日の沙夜ちゃんの服装、黒のブーツに超ミニスカート、しかもヒラヒラの。ギャルだね〜。
 店を出るときはチラリともワシのことを見ず(いつものことだが)、店の外でもずっとうつむいたまま駐輪場へ向かわれた。
 17:00台で上がりとは、今日は早くから働いていたのだろう。トイレへ行って清掃チェック表を見てみると「9:00 大塚」とあった。朝から働いていたんだね。
 そしてワシも店を出た。いつものさんにレジをやってもらった。
 いやいや、久しぶりに会えてよかった。そして相変わらず声をかけられないワシ。
 これから行われる飲み会でこれを報告して、また馬鹿にされるんだろうなと思いながら池袋へ向かった。

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