3月13日(土)

 もうグレートホステスに沙夜ちゃんはいない。しかし、ここのグレートホステスは最高の思い出の場所となった。それの感謝の気持ちを込めてとまでは行かないが、土日はここで普通に朝飯を食べようと思った。
 11:30に車で出発、道路からグレートホステスに入ると…なななんと沙夜ちゃんがいる〜!!外からあのかわいいうなじの女の子が見えたのだ!!
 ワシは本当に心拍数が上がり、車庫入れも3回も切り返してしまうほど興奮状態に陥った。
 以前から駐輪場には、印象深いピンク色の自転車が毎回とまっていた。沙夜ちゃんがいなかった過去2週間はその自転車がなく、復帰した今日またその自転車がある。つまり、この自転車は沙夜ちゃんのだろう。人気キャラ「マヨ次郎」のベルが付いている。さすが高校生…。
 店内へ。沙夜ちゃんのご案内で席につくことができた。感動の再会だ。実に3週間ぶり、完全にあきらめていたところからの復活だから感動もひとしお。
 働く沙夜ちゃんを、かわいいかわいい沙夜ちゃんを、ワシの夢である沙夜ちゃんを、ばれないようにチラチラと見ていた。あるときには目が合ってしまい、赤面したもんだ。
 そんなことをしてると時間がたつのが早い。もう12:30。一応ワシの中でこの時刻をタイムリミットとしている。
 またレジに行ってもらおうと立ち上がる。しかし、むなしくも沙夜ちゃんはレジに行かず厨房のほうへ消えていってしまった。まあ食べ物運ぶのが先だから仕方ないだろう。大丸店長にレジをやってもらう。
 沙夜ちゃんにやってもらえなかったむなしさから、ゆっくり出口に向かって歩く。すると、
「ありがとうございましたー!!」
 とてつもなくばかでかい声で沙夜ちゃんが言ってくれた。ほかの人に対してはすごく小さい声なのにね。
 実は席を立つとき、テーブルに敷いてある紙にワシの電話番号とメールアドレスを書き残しておいた。いつ沙夜ちゃんがいなくなってしまうか分からない、やめてしまったと思ったときは本当にショックだった。だからそうなる前に、できる限りのことはしたいと思った。
 そのできる限りのことというのが、上記のことである。直接アタックしたり、沙夜ちゃんの電話番号を聞いたりはできない。怖いから。これが精一杯である。
 しかし、連絡をもらおうなんて思っていない。できる限りのことをしたかった、ただそれだけ。
 外から、ワシのテーブルを片付ける沙夜ちゃんの様子を見ていた。てきぱきと片付ける沙夜ちゃんの手がピタリと止まり、テーブルの紙をじっと見ていた。
 気づいた!
 それを確認したら、ワシはそそくさと沙夜ちゃんの視界の外へ消えた。その紙をどうするか見るのが怖かったからだ。捨てるかポケットに入れるか、そのどちらかだからさ。怖くて見れない。
 何はともあれ、沙夜ちゃんと再会できたのがうれしかったので、電話番号のことはどうでもいいとしようぜ。

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