9月4日(日)

 歩いてグレートホステスへ。
 歩いてそろそろ近づくころ、お店が視界に入り、遠方からではあるが店内を見てみる。この距離じゃいるのかいないのかは分からない。
 裏口から駐輪場へ。沙夜ちゃんの自転車あり。
 店内を見たが、沙夜ちゃんの姿は全く見えない。休憩中か、裏方で作業中か。
 もしかしたらもう上がりか。ワシが入ったとたんに私服で出てくるかもしれない。そうであっても仕方ない。文句は言わず。
 入店する。店長の案内。案内といっても、いつものようにワシが勝手に禁煙席へ行くだけなのだが。
 いつもと同じ、店内が見渡せる席群へ。いつもここは仕切りがジャマなのが気がかり。思いっきり右側の席へ。
 ここは喫煙席の作業場から一直線上にある。仕切りもここまでは延びていない。いい席だ。
 すぐ隣にはオッサン客が一人座っている。普通、ほかの客が座っていたら一つあけて座るのが普通だが、ベストポジションを取るためにかまわずオッサンの隣の席を取った。
 店長に注文を頼む。ドリンクバーに加え、フライドポテトを塩味で頼んだ。
 ワシの右前方に位置するキッチンの入り口から沙夜ちゃんが出てきた。本日初対面。沙夜ちゃんはワシのことを見ながら出てきて、ワシも沙夜ちゃんのことを見た。ずいぶん長いこと目が合った。
 沙夜ちゃん、こんにちは。
 楽しそうにほかの店員たちと話をしながら仕事をする沙夜ちゃん。裏方で「それがイヤだから(云々)」と大きな声でしゃべっている沙夜ちゃんの声が聞こえた。
 ワシは沙夜ちゃんに対してギャルとか言っているが、しゃべり方を聞いていると全然ギャルっぽくない。清楚な女の子のしゃべり方だ。
 服装や髪の色や化粧を見てギャルとは言っているが、あくまでも外見だけで、実際は最初の印象どおりの女の子なんだろうな。
 過去にも沙夜ちゃんの雑談中の声は何回か聞いた。販売されているドラえもんのバックを手にとって「これ絶対おかしい」(『これチョーおかしくない?』ではなかった)、若乃花店長と何の話だか分からなかったが「気持ちわるーい」(『キモい〜』ではなかった)、かなり清楚だった。
 仕事中だからとかではなく、普段もあんな感じなんじゃないだろうか。そう思った。
 そんな沙夜ちゃん、ほかのウエイトレスと二人で「お先に失礼しまーす」といって控え室に入っていった。
 なんと、もう上がりか…。
 入店から20分、今日は非常にあっけなく終わってしまった。
 悲しみにふけていると、更に追い討ちをかけることが。フライドポテト、塩味で頼んだのにガーリックチーズ味で出てきた。店長、違うじゃーん。
 まぁ値段は変わらないわけだし、そんなことはどうでもいいとして、沙夜ちゃんもう帰っちゃうわけだから、ひっそりと見送ることにしよう。
 沙夜ちゃんが出てくるまでポテトは食べずにボーっと座っていた。しかし沙夜ちゃんはなかなか出てこない。
 待ちきれずにポテトをちびちびとつまんでいた。うん、ガーリックチーズ味はうまい。塩味よりいいよこれ。店長、これを教えてくれたのだな?
 裏方で亀島さんが大きいバスケットを頭に乗せて歩いていた。どこかの民族みたい。かわいい亀島さんでした。
 沙夜ちゃんが控え室に入ってから30分、ようやく私服姿で裏方に出てきた。
 そこにいる職員とちょっと長めに言葉を交わしている。
 なんか、今までお世話になりましたのような雰囲気があるな…。
 そして、「がんばってね!」という声が聞こえた。
 ん?がんばってねって…。沙夜ちゃんここから巣立っちゃうってこと?
 その「がんばってね」という声は、これから沙夜ちゃんと一緒に帰る人の声なのか、それとも厨房の人が沙夜ちゃんに向かって言った声なのかは分からない。それ次第で状況はずいぶん違ってくる。
 そして表に出てくる。黒のTシャツに、裾に段々がある白のミニスカート。チミはミニしかはかんのかい。
 レジにいる亀島さんが笑顔で手を振る。そしてそこでもちょっと長めに言葉を交わす。
 おい…、なんか今日でやめるような雰囲気だな…。
 まぁ、そんな雰囲気を出しながら帰っていったというのはあのときもそうだった。これは特別なことじゃなく、いつもそんな感じで帰るんだろう…。
 …な?
 沙夜ちゃんも帰り、つまらなくなったところで店を出ることに。ガーリックチーズ味を教えてくれた店長にレジをやってもらった。
 沙夜ちゃん今日はずいぶん中途半端な時間に上がったな。日によって時間帯が少しずれるんだろう。以前も思ったが、それに合わせて店に行くようなことはするつもりはない。自分の時間で来ればいいのだ。
 先週はいいことあって、沙夜ちゃんへの気持ちがまた大いに盛り返してきたが、その翌週は寂しい終わり方。喜んだり悲しんだり、相変わらず波の激しい毎週である。

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