5月28日(土)

 15:30に車でグレートホステスへ。店の外から沙夜ちゃんが見えた。
 駐車場に車を止めて店に向かって歩く。ちょうどそのとき沙夜ちゃんはほかの客を席に案内。このタイミングだとワシの案内は違う人だな。
 入店すると、先週と同じく若木さんがワシを案内。1人かと聞くとすぐに禁煙席へ。
 若木さんのあとについて歩く。すると若木さん、明らかに奥の席を手で指しているのに、視線と体はすぐそこの席だ。奥の席なのかすぐそこの席なのかわからない。思わず若木さんに「ん?」と言ってしまった。
 若木さん「奥の広い席か、こちらの手前の席、お好きなほうにどうぞ」
 なるほど選ばせてくれるのか。若木さんのやさしさに甘えて奥の広い席に座らせてもらった。
 若木さん「こちらでよろしいですか」
 ワシ「はい…」
 若木さん「(ニコッ)」
 優しい人妻店員の若木さん…。ほんと慰めてほしいです。
 っていうかこの席ダメだ!店の奥に位置しているからレジから遠くて沙夜ちゃんが見えづらい。同時に喫煙席の作業場が全く見えない。裏方のキッチンはすごく近いのだが、角度が悪くて中が見えない。
 沙夜ちゃんがこちらのゾーンに来てくれないと見ることができないのだ。この状況だから沙夜ちゃんあまりこっち来ないだろうし…。
 そんなことを考えていたら若木さんが注文を取りに来てくれた。ポテトサラダとドリンクバーの省エネ注文。
 ワシの目の前の席に客が来た。案内するウエイトレスさん、沙夜ちゃんだ。
 やがて若木さんがポテトサラダを持ってきてくれた。カルピスを飲みながら食べるこの味はもうおなじみ。
 やはりこの席だと近くで沙夜ちゃんが見れない。はるか遠方で働く沙夜ちゃんを見ているような感じだ。
 しかし沙夜ちゃん、遠くから横顔を見てみると、アゴがとんがってるねぇ。何から何まで細い。
 17:00近くなり、いつものさんが出勤してきた。ワシのいるキッチン方面へ向かって歩いてくる。ワシを発見し、見るわ見るわ…。
 前からそうだったが、いつものさんの視線の数は沙夜ちゃんをはるかに超えている。微妙な視線は一切なく、毎回ハッキリ見ている。
 本当にワシを好きになってくれているのはいつものさんなのではないか?好きでなければあんなにたくさん見ないだろう。逆に言えば、あれだけたくさん見てくれてこそ「ワシのこと好き」と判断してもよいのではないか。
 そうであればそれは大変な慰めになる。癒されるよ。もう「いつものファンクラブ」を作ってもいいくらいだ。
 …やめた。量はどうであれ、むこうの行動で「ワシのこと好き」と判断して失敗したばかりなわけだから、慎みなさいである。
 お食事中おトイレさんも出勤してきて、最初若木さんと沙夜ちゃんの二人だったウエイトレスさんも四人になり、にぎやかになってきた。
 ワシも持ってきた地域新聞を読む集中力がずいぶんとなくなったので、そろそろ店を出ることにしよう。
 レジにはいつものさんがいた。久しぶりにレジをやってもらった。
 おとなしそうな雰囲気とは裏腹に、かなりハキハキとしゃべる。圧倒されそうになるくらいだ。
 「ありがとうございました、またおこしくださいませ」
 お釣とポイントカードを財布に入れながら外に出ようとする。いつも沙夜ちゃんのときにやるようにレジを1回振り返った。いつものさん見てる。
 店を出て駐車場に向かって歩き出すとき、店内のレジを見てみる。いつものさん見てる。
 駐輪場に近づき、そろそろ店内が見えなくなるところまで来てまたレジを見る。いつものさん見てる。
 いやいやいやいや照れるね。レジから一歩も動かずじっと見てるよ。この絶望のさなかに見えるかすかな明るい光はすごくまぶしく目に映った。
 話を沙夜ちゃんに戻すが、ワシは今、あの出来事を境に沙夜ちゃんはあまりワシを見なくなったととらえているのだが、あの出来事以前にもこれぐらい視線が少なかったことも何回かあったよな。
 特に車で来たときは本当に何もなく、ジンクスと表現していたが、今日も車で来て何もなかった。これは以前となんら変わりない。
 手紙を渡す前の様子と手紙を渡したあとの様子、これがイコールで結ばれるとなると、やっぱり沙夜ちゃんワシのことなんか最初から何とも思っていなかったんだろな?
 ワシもしつこく通っているけど、それは単に沙夜ちゃんを見たいから。会いたいから。
 でもいつかはこの思いを断ち切らなければならない。いつまでもズルズル引いて通い続けるわけにもいかない。それを考えると寂しい。
 1年3ヵ月の思いをいきなり断ち切るのは無理だ。少しずつ少しずつ消していくしかない…。

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